唐木で家具、お箸、アクセサリー等土倉木工所では作っております。

過去の作品例

第37回東京モーターショー

2003年が江戸開府400年に当り日産自動車様がダットサンを最初につくって70年目になるのを記念して造ったコンセプトカーです。最初に話があったときは詳しいことは言わずに車の床の部分を唐木で作ってほしいという事でした。しかし、丁度アンジュノアールの3月開店の仕事で忙しく、「現在、行なっている仕事が済むまで待って欲しい」との要望を日産自動車様に話したところ快諾していただきました。
仕事が一段落した3月末頃、日産自動車様がいらっしゃった際に様々な伝統工芸の技術を活かした車を作るといった今回の目的を話していただきました。
床は唐木細工、ソファーは印伝、車のボディーは東京銀器、ドアの内側は漆、その他に和紙、ハンドルは水牛の角、ボンネットの中は唐木細工。それぞれの職人が自分の技術を活かしての合作です。車本体はもちろん日産自動車様。
10月のモーターショーまでに完成させるという事でしたので時間は十分にあると思っていましたが、思いの外大変な作業で、デザイナーの図面どおりに作らなくてはならないので仕事はなかなか進みません。

床は黒檀と黒檀の間に紫檀を挟んだ板状の棒を作り、さらに棒と棒の間にシリコンゴムを滑り止めとして挟みます。木と木はニカワで接着するのですが、ゴムは難しく悩んだ末、ゴムの弾力を利用してきつく挟んでアクリル板の板に張り付けて床にしました。
ボンネットは、さらに大変で、四角い皿のような型の箱ですが四ヶ所の立ち上がりの寸法が全て違うのです。図面どおりに作っても組み立てると図面どおりにはいかず、何度もやり直しを行い、最後は長年の職人として培った自分のカンで作りました。

私以外にもこの車に携わった職人さんたちもそれぞれ大変なご苦労があったと思いますが、モーターショーでゴーン社長がご乗車になられた時は、最高の気分を味わうことができ同時にこの仕事を行なって良かったと思っています。
NISSAN DESIGN
車のボディーは東京銀器
ボンネットの中は唐木細工
車の床の部分を唐木
床は黒檀と黒檀の間に紫檀を挟んだ板状の棒作り

昭和天皇陛下 ペン立て修理

私が仕事を始めて3年目くらいのことでした。
お店のご主人が持って見えたのですが、天皇陛下のお使いになっているペン立ての中板に割れが入っていました。
25cm×18cm位の大きさですが、紫檀の板が割れて中心部に隙間があいていました。 父 次三郎が「よく木が乾燥していなかったため割れが生じた」と言っていたのを今でもはっきり覚えております。
四ヶ所は銀製の足がついていてシンプルで品のいい品物でした。 隙間は真直ぐにあいているのではなく木目に沿って不自然にあいているのを ものの見事に直してしまい割れた跡など分からないくらいでした。 父の凄さに感心したのはその時が初めてだと思います。
私の思い出でもあるこの修理したペン立ては今でも皇室で使われていると思います。

故・吉田茂元首相 葉巻入れ

私が22〜23歳頃のことです。
やはり、お店のご主人が見えて吉田茂氏があるデパートで「葉巻入れがない」 とおっしゃった事ですぐに制作の依頼があったそうです。
注文内容は本人の使っている葉巻を切るシガーカッターを持ってきて、 シガーカッターが葉巻入れの横に入るようにするとの事でした。制作には周りには銀を巻いた装飾で中はチーク材を使い蓋は1枚のみで 25cm×20cm×深さ5cm位だったと思います。品物が出来上がり、届けに行ったところお店のご主人が上等と言って褒めていただきました。 若い私は大変嬉しかったのを覚えています。
その後、吉田茂氏の遺品店でその品物がテレビに映った時は驚きでした。

アンジュノアール

2002年の夏の猛暑の中、1人の40代位の男性が訪ねてきました。男性は、入るや否や、家の中をキョロキョロ見たり、「暑いですね」などの世間話をするのみで、品物を購入する様子も無いので私は不思議な人だなと思っていました。
帰り際に小さな箱に目をつけてこれを煙草入れに使うので1つ下さいとおっしゃったのですが、いらないものでしたので差し上げたところ、笑顔でありがとうございましたと言って帰っていきました。
それから、3ヵ月後のことでした。別の男性から1本の電話で「3ヶ月前に伺った者はワールド・アンジュノアールの○○という者でして、お宅で黒檀の箱を作りたいので是非伺いたい」とのご連絡がありました。後日、若い男女が訪ねてきて「デザイナーがフランスから帰るまでにどうしても用意して欲しいため、この寸法の箱を一週間で作って下さい」とのご要望がありました。そのデザイナーは田原桂一氏という有名な方で、ワールドという繊維会社の社長の娘さんと田原氏が一緒に青山の骨董通りに男性物の店を出すため、試作が欲しいとのことでした。
その箱を作成してから、1週間後、開店の打合わせがしたいとの事で六本木のワールドの会社へ息子と二人で行き田原氏にお会いしました。日本人離れした感じの人で、大変素晴らしく更に頭もよいので、天才と言う人はこういう人なのかと印象を受けたのを覚えております。その後、意気投合して、仕事をすることになったのですが、男性物の店なのですべて黒檀を使っていきたいとの事になりました。
同じ黒檀の箱でも田原氏のデザインは素晴らしく、黒檀の素材を最大限に活かす見せ方に非常に驚きと楽しみを感じました。
作業の量は黒檀の丸太3本分の量を開店までの3ヶ月間で制作しなくてはならなかったため、ほぼ毎日徹夜の日々が続きました。
しかし、開店した際、店の中でも一際目立つ高さ2m×布40cm蛇ランプ×厚さ6cmの枝をノミでくり抜き、そこにニシキヘビの皮をつけてランプにした蛇ランプをつけて皆で祝盃をあげた時、そして一生懸命製作した物が「婦人画報」に掲載された時は大変な喜びでした。
田原氏には今でも一品物をご注文を頂いております。
蛇ランプ
ひょうたん型とっくり
黒檀箸